おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

220_原仏13ー9

ー 愚かな者 ー

前回 ( 219_原仏13ー8 - おぶなより ) の続きです。

なお、便宜上、本でなされている内容及び解説を、(A) と記します。また、私の文を (B) と記します。あらかじめ、ご了承頂きますよう、お願い申し上げます(段落分けなどの改変あり)。

もしも愚者が自分が愚であると知れば、すなわち賢者である。
愚者であってしかもみずから賢者だと思う者こそ愚者と名づけられる。

(六三)

(A) はなはだ逆説的な立言ですが、人間の真実をついているといえましょう。

(B) もしも、至らない者が自分の至らなさを謙虚に心から反省し、精進に向かうなら、(神様の無限のレベルまで繋がる天井を目指しての)向上心に繋がるから、人格的にも申し分ないし、いずれ自身の水準も上げていくことに繋がるでしょう。

仮に、進歩が微々たるものであったとしても、今生(現世)で目立つ成果があげられなくても、いずれ輪廻転生を通しては向上することにつながります。

こうした人なら、十分に賢者と呼ぶに値するのではないでしょうか。

だいぶ前に書きましたが、遺伝子関係の学者さん(村上和雄さん)が、遺伝子のあまりの精緻きわまる想像を絶する仕組みに、神様の素晴らしさを感じないではいられなかったとしていた話を引きましたが、おそらく、どこまでいっても精進の果てにはたどり着けないのでしょうから、向上心は必須のものと考えられるためです。

逆に、このように、何事も果てしなく、先があるとすると、世間一般で高い評価をされたからといって、すぐに思い上がり、高慢や傲慢になってしまうのは、賢いとは言えない訳です。

現代的にみると、そうした解釈もできると思います。

次です。

愚かな者は生涯賢者につかえても、
真理を知ることが無い。
匙(さじ)が汁の味を知ることができないように。

(六四)

(A) うまいたとえです。匙が汁の味を知ることができないように、愚かな者は立派な人のそばにいても、その本当の味わいを知ることができないというのです。

(B) 以下の話は、愚かという表現は不適切なので、未達としておきます。

五井先生の本にこんな話が出ていました(改変あり)。

日本のある有名な博士がいました。

学問の深い人で、非常にもののわかった哲学者で、哲学界では相当な人。

その人は、茶碗がここにあると、これは寂滅(大まかに無と考えればいいと思う)の世界から来ているのか、寂滅が茶碗を生むのか、茶碗が寂滅を生むのか、とか、見るものと見られるものとが、どうのこうのというように、種々と哲学的に説くのですが、それが常に、あらわれの自己の頭脳智で説いているだけで、本当のことがわかっていないから、ぐるぐる茶碗の周りをまわっている。真理の周りをまわっているだけ。

ですからいまだに悟ってはいない。あちらの世界に行っていらっしゃるのに悟っていない。実際に行っているお百姓さんのおじいさんやおばあさんの方が悟って・・・以下、略。

という、ちょっと似た話がありました。

次です。

悪事をしても、その業(カルマ)は、しぼり立ての牛乳のように、すぐに固まることはない。
(徐々に固まって熟する)その業は、灰に覆われた火のように、
(徐々に)燃えて悩ましながら、愚者につきまとう。

(七一)

(A) 最初から悪いことをする人というのは少なくて、この程度のことはしてもかまわないだろうと思っているうちに、悪というものが習性となって固まってくる。

悪にはまってしまう場合かが多いのではないでしょうか。

(A中村さんのこの解釈は、この世(現世)の中での因果応報、バチが当たる、ブーメランを想定しているように見えます。

原典が簡潔過ぎるので、何ともわかりませんが、輪廻転生を前提とするなら、割合にわかりやすいたとえではないでしょうか。

真善美に戻る業想念を例にとると。

この世で種を蒔(ま)いた、業想念は、(原則として)すぐにこの世であがないが起きてくる訳ではない。

この世では、来世以降の具現化の種として、潜在意識である想いの世界の幽界に収められた形になる(それなりに浄めることができなければ)。

世を隔てて、来世以降に実を結んで(来世以降の)この世に具現化してくる。

場合によっては、他の過去世の業想念もまとめて、まるで、熟成されるかのようになる場合もあるかもしれない(守護霊さんや守護神さんがいくつかの業想念をまとめて消滅させようとなさる場合)。

だから、あのたとえは、輪廻転生を前提とした因縁因果の展開にかなり近いものに見えると思います。

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・寂滅~じゃくめつ~仏教語~煩悩の境地を離れ悟りに達すること。転じて、死ぬこと。

(参考)寂滅為楽~じゃくめついらく~仏教語~寂滅の境地こそが、真の楽であるということ。

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①追記: 2020/12/19 22:22
②追記: 2024/04/16 11:15
③追記: 2024/04/16 11:18
〜訂正内容〜

上記複数回にわたり、本文を加筆・訂正しました。