おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

263_原仏17ー2

262_原仏17ー1 の続きです。

Ⅱ 人生の指針 の
第二部 後世における発展 の
第六章 アショーカ王のことば ー 「岩石詔勅」の
アショーカ王のことば です。

なお、便宜上、本でなされている内容及び解説を、(A)と記します。また、私の文を(B)と記します。あらかじめ、ご了承頂きますよう、お願い申し上げます。また、ここでも、本の小見出しに従って、見ていく形にしたいと思います。

ー 理想を説く ー

この理法を説く詔勅は神々に愛せられた温容ある王が刻せしめた。
我が領土の内では、いかなる生物をも殺して犠牲(いけにえ)に供してはならない。
また、祭宴を行ってはならない。
何となれば、神々に愛せられた温容ある王は、祭宴のうちに多くの過ちを認めるからである。
しかし、神々に愛せられた温容ある王が思うに、善となり、とみなされる或る種類の祭宴も存在する。
かつては、神々に愛せられた温容ある王の大膳寮において、日ごとに幾百千の生類が羹(あつもの)のために屠殺せられた。
しかるに今この法の詔勅が刻せられた時には、ただ三匹の生物が羹のために殺されるに過ぎぬ。
即ち、二羽の孔雀と一頭の鹿とである。
しかし、これら三つの生物も後には屠殺されないであろう。

(岩石詔勅 第一章)

(A)まずはじめは、このような文章です。詔勅を、アショーカ王は自ら理法を説く詔勅と呼んでいます。人のよるべき理法を、自分は述べるのだという立場に立っています。
彼はアショーカという自らの名前を出しません。わずかに一回だけ、他の詔勅文に出ていますが、それ以外はいつも「神々に愛せられた温容ある王」という雅号のようなものを使っています。国王は徳のある人間でなければならない。心が純で、神々に愛される人であるべきとして、彼の理想として掲げているのです。「神々に愛せられる人」という言葉は、後のサンスクリット文献では、正直者・ばか正直な人・愚直な人という意味にも転化するのです。アショーカ王が、非常に純粋な気持ちを持とうと思っていたことが、ここからもわかります。そして、王者の威厳を示すのではなく、温容ある王であることを目指しているのです。これは、仏教で説く和顔愛語で、やわらいだ顔を人に示し、やさしい愛のこもった言葉を語る理想を帝王でありながら実現しようとしていたのです。
そして、ここで説いているのは、生き物を犠牲(いけにえ)のために殺してはならない、ということです。ヴェーダの祭りの時に動物を殺して犠牲にしますが、これはいけないというのです。祭宴の際にも、生き物を殺すからには過ちを伴うのであって、生き物を殺さない祭宴ならば良いとするのです。そして、以前は多くの生類が屠殺されていましたが、自分は段々にこれを減らしてきて、二羽の孔雀と一頭の鹿だけを、屠殺するようになったというのです。
これらの生き物を選んでいたのは、孔雀が肉に不思議な力があると信じられていたこと、また鹿は、インドで愛される獣だったからです。後には、これらさえも屠殺しないように、そのような文章が長い詔勅文の最初に出てくるのです。およそ想像を絶することです。人を殺すのはもちろんいけない、のみならず、生き物までも殺さないことを彼はすすめているのです。
アショーカ王は慈悲の精神を生かそうとしました。それは政治の面にもあらわれ、囚人に対する恩赦、刑罰を軽減させることにより、刑罰での人命の剥奪がなされることがないように、彼は心がけていたのです。

(B)権力欲と支配欲、そして服従欲が強く、わが世の春を謳歌して、社会を身勝手に、それこそ思うがままにしたがる権力者が多々あった中で、この人はちょっと毛色が変わった感じがしますね。

まあ、何はともあれ、言葉よりも実行、実績がすべてを物語るから、いずれは時間が立てば、後世にはわかるんだけど。

生き物の祭祀でのお供えのための屠殺を控えるように、と何となくアショーカ王の懺悔的な雰囲気を漂わせていますね。

鹿は、インドで愛されている動物だったからこそ犠牲にした、だって?

意味がわかんねえよ。

逆が本筋なんじゃないの?

愛される動物だからこそ、生け贄(いけにえ)に供することを極力避けるのが、本来じゃないの?

身近で愛する動物だからこそ、犠牲を買って出てもらうのが筋で、人の道だとでも言うの?

インド人の人達の考え方や風習がわからないよ。

途中ですが、ここで区切らせて頂きます。ご了承願います。

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・理法~りほう~正しい道理。法則。
(用例)自然の理法。

・温容~おんよう~おだやかでやさしい顔つき・様子。温顔。
(用例)師の温容に接する。

・愚直~ぐちょく~おかしいほど正直で、融通のきかないこと。また、そのさま。ばか正直。
(用例)愚直な男。

・和顔愛語~字引載っておらず。

・雅号~がごう~作家・学者・書家・画家などが、本名以外につける風流な名。号。筆名。ペンネーム。

・転化~てんか~ある状態から別の状態・物に変わること。
(用例)糖分がブドウ糖に転化する。

・犠牲者~ぎせい~(犠も牲もいけにえの意)①神に供(そな)える生き物。いけにえ。
②ある目的のために財物・生命などかけがえのないものを捧げること。
(用例)犠牲を払う。
③戦争・災害・事故などで、命を奪われたり、傷ついたりすること。
(用例)交通事故の犠牲者。

・生(け)贄~いけにえ~①人や動物を生きたまま神に供えること。また、そのもの。
(用例)羊を生け贄にする。
②ある目的のために犠牲になること。
(用例)組織のために生け贄にされる。

・祭宴~字引載っておらず。

・屠殺~とさつ~(肉・皮などを取るために)牛・馬・豚などの家畜を殺すこと。畜殺。

・恩赦~おんしゃ~法律用語~司法権で決められた刑罰を、行政権によって消滅・軽減すること。内閣が決定し天皇が認証する。

・剥奪~はくだつ~地位や資格などをはぎ取ること。無理にとりあげること。
(用例)権利を剥奪する。

・祭祀~さいし~神を祭ること。祭り。祭典。

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①追記: 2021/02/03 22:18 〜訂正内容〜

注釈を追加しました。

②追記: 2021/02/03 22:27 〜訂正内容〜

注釈を追加しました。

③追記: 2021/02/03 22:37 〜訂正内容〜

文章を数ヶ所訂正しました。