おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

249_原仏15ー3

248_原仏15ー2 の続きです。

Ⅱ 人生の指針 第一部 人生の指針
第四章 人間関係 ー シンガーラへの教え

一 個別的な人間関係 からになります。

なお、便宜上、本でなされている内容及び解説を、(A)と記します。また、私の文を(B)と記します。あらかじめ、ご了承頂きますよう、お願い申し上げます。

(B)途中ですが、勝手にまとめると・・・。

要は、ただやみくもに各方面に頭を下げまくるのではなく、ごく普通の人生の生き方に柱となる尊重すべき6つのものを、釈迦がシンガーラに説いて聞かせた話ってことですね。

けど、シンガーラや彼の父親は、無意識的にしても、何となく神様の存在をわかっていたような感じにも見えなくもないような・・・。

とにかく。

釈迦は、6つの方角を以下のように規定した。

①東方→父母
②南方→諸々の師匠
③西方→妻子(本には妻のことしか書いてないけど)
④北方→友人・朋輩
⑤下方→奴僕・傭人
⑥上方→修行者・バラモン

このうち、前回までで①②を見たので、今回は③④になります。

次です。

ー 夫と妻の関係 ー

(A)(一部、改変・省略・訂正あり。以下、すべて同様)第三に、夫と妻との関係について述べられます。

(B)なし。

続きです。

「実に夫は五つのしかたで、西方に相当する妻に奉仕すべきである。
すなわち、
(一)尊敬すること、
(二)軽蔑しないこと、
(三)道を踏みはずさないこと、
(四)権威を与えること、
(五)装飾品を提供すること
によってである。
西方に相当する妻はこれら五つのしかたで夫に奉仕されるのである。」

(A)妻に奉仕すべきとは、亭主関白で、勝手なことをしてはいけない、心せよ、ということなのでしょう。まず、妻を尊敬しなければならない。(二)の軽蔑しないことは、世間ではどうかすると妻に対して荒々しい言葉を遣(つか)う人がいますが、そういう言葉を妻に向けてはいけないのです。
また(三)の道を踏みはずさないことを、西洋の学者は姦淫(かんいん)せざることと訳しますが、ブッダゴーサの注釈によると、もっと精神的な意味にとっています。その注釈によると、妻以外の婦人と一緒に外へ出て歩き回るようなことをしないと言っています。
(四)権威を与えることを、ブッダゴーサは、女人(にょにん)というものは、たとえ蔓草(つるくさ)のような(ゆったりとした)大きなサリーを与えられても、食物を分配する自由を与えられないと怒ると言っています。だから、しゃもじを持たせて、お前の好きなようにせよと自由にさせることにしたのです。
(五)の装飾品を提供することは、世間の男性達にとっては驚異的な発言です。ただ、ブッダゴーサの注釈によると、夫の能力に応じてと但し書きがついています。男性の方々もこれで安心するでしょう。
よく世間で言われる貯蓄増強という精神に反するのではないかと懸念されるかも知れませんが、南アジアの国々では、国家に対する信頼があまりありません。従って、銀行にお金を預けるということをあまりしない。どうするかというと、自分の銀行に預けるのです。ということは、お金ができると貴金属を買い、腕輪、イヤリング、指輪などにして自分の身につけておき、お金が入用の時はそれを一つ一つとって売るのです。ことに戦乱などの時の、彼らの生活の知恵がここに反映しているのです。こういうことを考えると、夫が妻に装飾品を買ってあげることは貯蓄増強と同じ意味になるのです。

(B)なし。

続きです。

「また妻は次の五つのしかたで夫を愛する。
すなわち妻は、
(一)仕事を善(よ)く処理し、
(二)眷属(けんぞく)をよく待遇し、
(三)道を踏みはずすことなく、
(四)集めた財を保護し、
(五)為すべきすべての事がらについて巧妙にして且(か)つ勤勉である。
西方に相当する妻は、これらの五つのしかたによって夫から奉仕され、またこれらの五つのしかたで夫を愛するのである。このようにしてかれの西方は護られ、安全で、心配がない。」

(以上、三〇)

(A)(一)の仕事を善く処理しは、当時家内工業をしたり、小さな店を開いている信徒が多かったことからきています。
(二)の眷属をよく待遇しは、親戚とか仲間うちの人々をよく待遇して、衣食に不自由のないようにしてあげることを言います。
妻の側での(三)道を踏みはずすことなくは、夫の場合と同様に西洋の学者は姦淫することなくと訳しますが、ここはもっと精神的な意味で、妻は夫以外の男を心の中でさえも思わないという倫理をいっています。
(四)の集めた財を保護し、は無駄遣いをせず、お金を大切にするということです。

(B)現在のインドの社会状況がどうなのかは知りません(かなり貧富の差が激しいらしい)が、中村さんの精神的な意味とされる倫理は、非現実的なのではないですか。

悟りを得た者同士が夫婦であるならばいざ知らず、悟れない一般的な人(ここでは女性)に対して、夫以外の男を心の中ですら思うな、なんてできるはずかない、と思うんですけど。

これから先の人生で、夫よりも魅力的な男性に出会う可能性は、むしろある方が普通なんじゃないですか。

ただ、そこで気持ちを切り替えて信頼関係を築いてきた夫に戻ることが多いだけで。

決して、気のある素振りを見せたり、近づいたり(アプローチしたり)、浮気をしたりまでは、しないだけのことで。

貞操帯じゃあるまいし、心のなかにまで、こんな厳しいがんじがらめな鎖をかけるかのようなことは、悟れていない人には、無理な話だと思うんですけど。

次です。

ー 友人・朋輩との関係 ー

(A)四番目に、良家の子と友人・朋輩の関係について述べられます。

(B)なし。

続きです。

「実に良家の子は次の五つのしかたで、北方に相当する友人・朋輩に奉仕する。
すなわち、
(一)施与と、
(二)親しみあるやさしいことばと、
(三)人のためにつくすことと、
(四)協同することと、
(五)欺(あざむ)かないこと
によってである。
これらの五つのしかたによって、良家の子は、北方に相当する友人・朋輩に対して奉仕する。」

(A)良家の子と訳してみましたが、これは直訳で、漢訳仏典では善男子と訳しています。元の意味は良い家柄の子です。では世間的な意味での家柄の良い人かというとそうではなく、行いの立派な人、心根の善い人を指します。それを、良家の子と呼ぶのだ、と昔の仏教学者は解していました。
(一)の施与は人に施し与える、ということで漢訳仏典では布施と訳します。
(二)の親しみのあるやさしいことばを仏典ではしばしば愛語と訳します。愛のこもった言葉です。人に対しては、愛情のこもったやさしい言葉をかけなければいけない。この愛語には、回天の力(天をも翻(ひるがえ)し回すだけの力)ありと言われます。
(三)人のためにつくすことを漢訳仏典では利行(りぎょう)と訳すことがあります。人のためになる、人の利益になることを行うことです。
(四)は、人々と協同すること。これは世の中で大事なことです。仏典ではしばしば同事(事をおなじうする)と訳します。
それゆえ、施すこと・親しみあるやさしいことばを語ること・人のためにつくすこと・協同することの四つを、仏典ではしばしば四摂事(ししょうじ)と訳すのです。この四つを実行することにより、人々を強力させることができ、協同体を円滑に進展させることができるので、仏教ではこの四つを非常に重んじているのです。
(五)の欺かないことは、シンガーラへの教えでは、五つ五つで徳を数えたてるので、これを付け加えているのです。このことを真実といってよいと思います。真心のことで、真心があれば人を欺きません。邪(よこしま)な利己心がある時に人を欺く訳です。だから、誠実な真心を欺かないことと表現したのです。

(B)なし。

続きです。

「また友人・朋輩は次の五つのしかたによって良家の子を愛する。
すなわち、
かれが無気力なときに、まもってくれる。
無気力なときに、その財産をまもってくれる。
恐れおののいているときに、庇護者となってくれる。
逆境に陥ってもかれを捨てない。
かれののちの子孫をも尊重する。
実にこれらの五つのしかたによって、良家の子は、北方に相当する友人・朋輩に対して奉仕する。
また友人・朋輩はこれら五つのしかたによって良家の子を愛する。
このようにして、かれの北方は護られ、安全であり、心配がない。」

(以上、三一)

(A)かれが無気力なときに、まもってくれることを、具体的に、注釈文献では次のように書いています。酒を飲んで酔って道路の上に寝転がっている時に、「だれかがこの人を傷つけるようなことがあってはいけない。この人の物をだれかが盗ってゆくことがないように」と、傍らについて介抱してあげる。そのうち酔った人が正気づいてから護って送り届けてあげるのだ。
とあります。
無気力なときにその財産をまもってくれるは、前述のことを物に関していいます。
恐れおののいているときに、庇護者となってくれるとは、誰かに脅かされるということがあった時には、護ってやるというのです。
逆境に陥ってもかれを捨てないは、わが国でも昔から、落ちぶれて袖に涙のかかるとき人の心の奥ぞ知らるる、という短歌があるように、インドでも同様なのです。人が逆境にある時、捨てないのが本当の友である、というのです。
かれののちの子孫をも尊重することは、私達日本人の間でも実際に行われている道徳です。南アジアでも同様なのです。西洋では割合に個人主義ですから、あまりこういうことは強調されません。しかし近代文明の先端をゆくアメリカでも、亡くなった兄弟の子供をおじが養育することが実際にあります。これから人情、人の道というのは、東西を通じて一貫したものがあると思うのです。

(B)なし。

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・姦淫~かんいん~男女が不道徳な性的関係を結ぶこと。道徳に反した情事。

・眷属~けんぞく~①血筋のつながっている者。一族。親族。
②家来。配下の者。郎党。
ここでは、①の意。

・善男子~ぜんなんし
(参考)・善男~ぜんなん~仏教語~信心深い男性。
・善男善女~ぜんなんぜんにょ~仏教語~仏法(仏教)に帰依した男女。信心深い人々。

・庇護~ひご~かばい守ること。
(用例)親の庇護。

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①追記: 2021/01/20 06:44 〜訂正内容〜

注釈を追加・訂正しました。

②追記: 2021/01/20 07:05 〜訂正内容〜

本文を一部訂正しました。