おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

703_ひしみー124

09 梵天による懇請

梵天勧請

前回( 702_ひしみー123 )の続きです。

今回は、あまりうるさいことを言わずに、なるべくあらましだけをまとめたい。

独断と偏見を含めるが、その点はご容赦頂きたい。

お釈迦さんが無言語状態で過ごした四週間目、ラージャーヤタナ樹下で結跏趺坐している時に、梵天が出現する。

梵天は、インド神話に登場するブラフマー神であり、宇宙の創造神である。

その梵天という神様が、伝道をためらうお釈迦さんに、「あなたが悟った宇宙の真理(ダルマ)を人々に説いて下さい」と懇請した。

これが、古来から、「梵天勧請」とされるエピソードである。

しかし、お釈迦さんは、そんな梵天様のたってのお願いをはねつける。

「(これまでいくつか触れてきたように)本来ならばたくさんの過去世の積み重ねがあって、なおかつ、神様(ここでの神様は宇宙神とでも言うべきもので、ここで扱う梵天様とはやや趣を変える)の期待があって、この世に生まれてくるはずの人が、予定通りにたくさんの修行を積んでやっとたどり着けた境地を、どうしてそれに遠く及ばない他の人々に簡単に理解させることができようか。
できるはずがない。」

これがその時のお釈迦さんのお考えだったのではないか。

ひろさんは、次のようにお書きになっている(改変あり)。

釈迦は梵天の懇請をにべなくはねつけた。
当然である。
宇宙の真理を言語化することは難しい。
たとえ言語化できたとしても、そこで使われる言語は、相手のレベルに合わせたものになる。
小学生を相手に微分積分の公式を説明できないのと同じである。
だから、釈迦は梵天の懇請を断った。

律蔵によると、以下の通り(改変あり)。

「困苦して私が証得したことを
今またどうして説くことができようか。
貪りと瞋(いか)りに悩まされた人々が、
この法を悟ることは容易ではない。
これは世の流れに逆らい、至微であり、
欲に執着し闇黒に覆われた者どもには見ることができない」

そして、梵天様は困り、以下のように言われた。

「ああ、この世は滅びる。ああ、この世は消滅する」

そうして、お釈迦さんが教えを説かないと、この世は闇のままになってしまい、滅びてしまうとされ、梵天様は再度の懇請をされる。

しかし、その再度の願いもお釈迦さんははねつける。

それでも、梵天様はあきらめずに、三度目の懇請をされる。

~~~~~

・懇請~こんせい~心を込めてひたすら頼むこと。
(用例)会長就任を懇請する。

・勧請~かんじょう~①神仏の出現やお告げを願うこと。
②神仏の分霊を移し祭ること。
ちょっとよくわからないが、ここでは①の意に近いと思う。

・証得~しょうとく~字引(国語辞典・漢和辞典)載っておらず。
① 真理などを悟ること。体得すること。
②悟ってもいないのに、悟ったとうぬぼれること。

・瞋る~いかる~①目をいからす。怒って目を見張る。
(用例)瞋目(しんもく)。
②いかる。いかり。
ここでは、②の意。

・至微~しび~字引(国語辞典・漢和辞典)載っておらず。
非常に細かいこと。

・闇黒~あんこく~①まっくら。くらやみ。
②文明が遅れていること。道義や秩序などが乱れていることのたとえ。
ここでは、②の意。

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①追記: 2023/05/14 23:07
 〜訂正内容〜

表題を加筆・訂正しました。

①について
09 梵天による懇請
の内容が始まる、
694_ひしみー115
から
714_ひしみー135
までの 21 個分の表題を
すべて間違えていたこと
に気づきましたので、
これらを訂正しました。
これに伴って本文中も
訂正すべき部分を訂正
することにしました。

この章の正しい表題は
09 梵天による懇請
でなければならないところを、ずっと
09 梵天の懇請
のままにしていました。
大変失礼致しました。
申し訳ございません。
お詫びとともに訂正させて頂きます。