おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

626_ひしみー048

05 人間の内側にある老・病・死

・「死」と闘って生きるヘブライズム

最初に、ここで出てくる用語の意味を列記しておく。

ヘブライズム~キリスト教の土台となった古代ヘブライ人の宗教思想。
ヘレニズムとともに西洋思想の二大源流をなす。

ヘブライ~①紀元前 13 世紀頃パレスチナに建てられた王国。ソロモン王の死後、ユダ王国イスラエル王国に分裂。
イスラエル民族に対する他国人の呼称。ヘブル。

ヘブライ人~ヘブライびとヘブライ人 とは、ヘブライ語聖書32節の中で34回記されている用語で 、ヘブル人と訳されることもある。
この用語は民族名ではないとされるが 、特に イスラエル王国時代以前においてはまだ遊牧民であったセム語を話すイスラエル民族と同義だとされる。

ヘブライ人~へぶらいじん~古代イスラエル人の別名。
ヘブライ語のイブリーに由来し、「進みゆく」「越えてゆく」などの意味をもつ動詞イブルから転じて、「(ユーフラテス)川の向こうからきた者」を意味する。
元々は川を渡ってきた遊牧民集団を指したもの。紀元前14世紀のアマルナ時代にシリア、パレスチナに出没した「ハピル(ハビル)」とよばれる集団と同一の範疇(はんちゅう)に属するといわれる。
後にイスラエル(「神が支配する」の意)が民族の選民としての自覚に基づく自称として用いられたのに対して、ヘブライは他民族によって世俗的名称として用いられた。

・ヘレニズム~(ギリシャヘレネス(=ギリシャ人)にもとづく語)アレクサンドロス大王の東方遠征後、アジア文明と融合して世界的性格をもった紀元前 4 世紀以降のギリシャ文化。
広義にはヘブライズムに対してギリシャ文化全体を指す。
ヘブライズムとともに西洋文明の二大源流をなす。

ヘブライ人には、読み方にも、意味合いにも微妙に違いがあるみたいだけど、とりあえずは、イスラエル民族でいいんじゃないかな。

これは私見だが、ひろさんはヘブライズムを源流とするキリスト教と仏教を対峙(たいじ)させて、老・病・死が人間の内側にあるところから、医療を例にとり、老・病・死を本質とする仏教に軍配をあげようとしているように見える。

ヘブライズムは死を点とする考え方だから、その手前(?)の生を闘うことである。

すなわち、死までの間を、できるだけ長く引き伸ばすことが生であり、これは同時に老いや病と闘う(抗う?)ことでもある(とされているように見える)。

ひろさんはヘブライズムの場合、勝つことは問題ではなく、闘った者には神が永遠の生命を与えてくれるから、これを信じて闘えばよい、とはしているものの、老・病・死が人間の本来の姿であり、真実の姿だから、やはり、仏教がよいとしているように読みとれる。

この章( 05 人間の内側にある老・病・死 )の下の 3 つの内容をまとめると大体上記のようになると思う。
・「死」と闘って生きるヘブライズム
ヘブライズムは、負けるために闘う
・老・病・死こそ人間の真実の姿

で、元に戻ると。

・「死」と闘って生きるヘブライズム

適当にいく(改変などあり)。

ここでは、ヘブライズムを源流とするキリスト教と仏教のそもそもの人々が置かれた環境の違いに根差して、老・病・死に対する捉え方が異なるとされる。

常に死と隣り合わせの砂漠という厳しい自然環境においては、神様から頂いた命をもって、自然と闘い、征服しながら生きていく人間という構図だ、とひろさんは言いたいようだ。

だから、闘って生きよ! それがヘブライズムにおいての至上命令である、だから、ユダヤ教徒キリスト教徒は死と闘って生きる、とお書きになっている。

ただし、ひろさんは、(砂漠ほど自然環境が厳しいとは思われない)モンスーン地帯、すなわち、日本、インド、中国、朝鮮半島キリスト教徒は、あまり自然と闘うことはしないので、死と闘って生きるのは、西欧のキリスト教徒だけだということらしい。

その死を点として考えるなら(ちょっと面倒くさいのでここは細かい話は省く)、その手前(ひろさんは左側としている)は、生なので、これをできるだけ長くする、すなわち、死をできるだけ遠くに追いやる(ひろさんは死という点をできるだけ右側に移動させるとしている)ことが至上命令となり、これが、闘って生きよ、になるとする。

ヘブライズムにおいては、死を点と考えるので、結果として死は存在しないことになり、闘う対象は老いとなる。

老いることは死に向かって進んでいくことだから、人間は老いと闘うことによって生き延びるものだ(とひろさんはしている)。

だからなのである(???)。欧米の老婦人が派手な服装をするのは、彼ら(彼女らではなく彼らと書いてある)はそのようにして老いと闘っているのだ(?????)。

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・対峙~たいじ~①高い山などが向かい合ってそびえること。
②人や軍勢がにらみ合ったまま動かないでいること。
(用例)両軍が対峙する。
ここでは、①の意。

・抗う~あらがう~逆らう。反抗する。抵抗する。
(用例)権力に抗う。

・モンスーン~→きせつふう。

季節風~きせつふう~季節によって風向きを変えて吹く風。
夏は海洋から大陸に、冬は大陸から海洋に吹く。
モンスーン。