おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

685_ひしみー106

08 天魔よ、汝は破れたり

・天魔の正体を見抜いた沙門ガウタマ

前回( 684_ひしみー105 )の続きです。

前々回( 683_ひしみー104 )、前回( 684_ひしみー105 )と、2 回続けて脱線したので、改めて前々々回( 682_ひしみー103 )からの続きとします。

とりあえず、前回までで、
・天魔の正体を見抜いた沙門ガウタマ
は終えたことにして、今回は、以下の項目からになります。

・天魔の軍勢に勝利した沙門ガウタマ

ひろさんによると、この項目の前半は、大体、以下のようになっている(改変あり)。

「破壊者よ、汝は破れたのだ」
(既出の中村さんの訳では以下の通り。
「破滅をもたらす者よ。
お前は打ち負かされたのだ」)

沙門ガウタマ(お釈迦さん)はそう言った。私達の言葉(ひろさんのお言葉)で言えば、「天魔よ、汝は破れたのだ」となる。そして、(その)正体を見破られた天魔は、すごすごと敗退する。

だが、読者よ、早合点しないでほしい。天魔というのは、それほどやわな存在ではない。叩かれても叩かれても、なおも出てくるのが天魔である。

ドイツの詩人ゲーテは「ファウスト」の中で、「人間は、努力をする限り、迷うものだ」と言っている。

そう、人間は努力をすればするほど、天魔の誘惑に遭う。

ともあれ、天魔は執拗である。手を変え品を変え、沙門ガウタマを誘惑する。

誘惑だけじゃない。誘惑が通じないとなれば、脅迫する。脅したり、賺したり、凄んで見せたり、天魔の方(ほう)も懸命である。

何せ、沙門ガウタマが悟りを開いて、人々に中道の有効性を教えてしまうと、天魔の力が人々に通じなくなってしまう。それでは困るので、天魔の方も沙門ガウタマの成道を妨害する。「成道」とは、中道の歩みが成って悟りを開くことだ。

とすると、私達が仏教に学ぶべきは、その中道であって、天魔の誘惑・脅迫に屈しないことだ。

ゲーテが言うように、努力をすれば迷う、ー 天魔に誑かされるー のだから、努力はしないことだ。つまり、中道とは、「がんばるな!」である。がんばると、どうしても誘惑を受けやすい。

さて、沙門ガウタマは、手を変え品を変えての天魔の誘惑を撥ね付けた。そして、成道した。

それゆえ、仏典は、これを ー 降魔成道 ー と呼んでいる。

「降魔」と「成道」は別の概念であるにもかかわらず、それを一つのものとして扱うのだ。それほど、天魔の誘惑・脅迫を撥ね付けることが重要なのである。

その天魔の様々な姿は、スッタニパータ( 四二五 ー 四四九 )に出ている。

とりあえず、今回はここで区切ることにします。

ご了承願います。

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・軍勢~ぐんぜい~軍隊。軍隊の兵士の数。
(用例)おびただしい軍勢。

・汝~なんじ~代称の人代名詞。おまえ。
(用例)汝の隣人を愛せよ。

・対称~たいしょう~①対応していてつりあいがとれていること。
②(文法)人称の一つ。話し手が話かける相手を指していう代名詞。第二人称。二人称。「きみ」「あなた」など。
③(数学)一つの点・直線・面に関して、その両側にある二つの図形上の各点が互いに互いに向き合う位置にあること。シンメトリー。
ここでは、②の意。

・遭う~あう~「交通事故に遭う」「海で暴風に遭う」「にわか雨に遭う」など、災難や事件など思いがけないことに偶然出あう場合に使われる。

・執拗~しつよう~しつこいこと。一つのことに強くこだわること。また、そのさま。
(用例)執拗に食い下がる。

・賺す~すかす~①なだめる。機嫌をとる。
(用例)脅したり賺したりして承知させる。
②言いくるめてだます。
ここでは、①の意。

・凄む~すごむ~相手を脅かすような恐ろしい様子を見せる。

・成道~じょうどう~仏教語~成仏得道(じょうぶつとくどう)の略。悟りを開き仏陀(覚者)になること。悟道。

・覚者~かくしゃ~①仏陀の別名。ほとけ。
②悟りを開いた人。
ここでは、①の意。

・誑かす~たぶらかす~うまいことを言ってあざむく。だましまどわす。
(用例)人を誑かす。

・降魔~ごうま~仏教語~悪魔を降伏(ごうぶく)させること。

・降伏~ごうぶく~仏教語~神仏に祈って怨敵(おんてき)や悪魔をおさえしずめること。調伏(ちょうぶく)。

・怨敵~おんてき~うらみのある敵。かたき。
(用例)怨敵退散。

・撥ね付ける~はねつける~申し出や要求などをきっぱり拒絶する。
(用例)妥協案を撥ね付ける。

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追記: 2022/08/11 04:55
〜訂正内容〜

本文を加筆・訂正しました。