おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

691_ひしみー112

08 天魔よ、汝は破れたり

・沙門ガウタマがついに仏陀となった

前回( 690_ひしみー111 )の続きです。

今さらではあるが、沙門と仏陀の一般的な意味をおさらいしておく。

・沙門~しゃもん~仏教語~出家して修行する人。僧。沙門(さもん)。

仏陀~ぶっだ~仏教語~(梵語の音訳)煩悩を超越し真理を悟った者。ほとけ。特に、釈迦牟尼(しゃかむに)。

釈迦牟尼~しゃかむに~釈迦の尊称。

・尊称~そんしょう~尊敬の意をこめた呼び名。←→卑称。

ということで。

尼連禅河(にれんぜんが。 680_ひしみー101 などに書いた尼連禅河のこと。中村さんの訳ではネーランジャラー川)は、雨期では滔々と水が流れるが、乾期はほとんど水がなくなるそうだ。

だから、歩いて渡ることができるらしい。

川を渡った先には、 1 本のクワの科の植物があった。

この木は、後にお釈迦さんが悟り(菩提)を開いたので、サンスクリット語でピッパラあるいはアシュヴァッタと呼ばれる木、すなわち、菩提樹とされる木だ。

沙門ガウタマ(以下はお釈迦さんとする)は、この木の下で結跏趺坐して禅定に入る。

仏教では、伝統的に夜を、初夜(しょや)、中夜(ちゅうや)、後夜(ごや)の 3 つに分けるそうだ(煩瑣になるが、これについては、179_原仏11ー1 で少し触れた)。

原始仏教の経典では、お釈迦さんは、
初夜に宿命通を、
中夜には死生智通(天眼通)を、
後夜には漏尽智通(漏尽通)を、
それぞれ得たとされている。

これらは、それぞれ、六神通(すでに 209_原仏12ー22 や 286_過去世と宿命通 などで触れている)に含まれるものだ。

再度、引用すると。

神通力は、以下の 6 つが代表的なものとされ、六神通と呼ばれる(申し訳ないが詳細な解説は省く。各自お調べ頂きたい)。

1 神足通(じんそくつう)
2 天眼通(てんげんつう)
3 天耳通(てんにつう)
4 他心通(たしんつう)
5 宿命通(しゅくみょうつう)
6 漏尽通(ろじんつう)

この中で、特に天眼通、宿命通、漏尽通の3つは、三明といわれる。

ひろさんによると、お釈迦様はこの禅定に入る段階で、この六神通のうち、
すでに
神足通
天耳通
他心通
は身につけていただろう、としている。

そして、後に菩提樹とされる木の下の禅定において、
初夜に宿命通を、
中夜に天眼通を、
後夜には漏尽通を、
それぞれ得たとされる。

ひろさんによると、宿命通と天眼通は、優れた宗教家なら習得できるもので、これらは必ずしも仏教の専売特許ではないそうだ。

ただし、後夜に得た漏尽通だけは、お釈迦さんが初めて得た神通力だそうだ。

ひろさんは、お釈迦さんは、漏尽通を得ることによって、初めて仏陀となった、としている。

そして、仏陀の本質は、この漏尽通という能力にあり、彼の教えを学んで最高の境地に達した者は、必ず漏尽通が得られるという。

ともかく、お釈迦さんは、後夜の、35 才の時の 12 月 8 日に、東の空に輝く明けの明星(金星のこと)を見ながら漏尽通を獲得して、仏陀になったとされている。

今回は、とりあえずここで区切ります。

ご了承願います。

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・結跏趺坐~けっかふざ~趺(足の甲)を結び(交差させて)、もう片方の足の趺(太もも)の上に乗せて、坐す(座る)こと。

・趺坐~ふざ~仏教語~足を組み合わせて座ること。
(用例)結跏趺坐。

・滔々~とうとう~①水の盛んに流れるさま。
(用例)滔々たる大河。
②弁舌のよどみないさま。
(用例)滔々と説明する。
③強い勢いである方向に向かうさま。
(用例)滔々たる世論の動き。
ここでは、①の意。

・煩瑣~はんさ~こまごましてわずらわしいこと。また、そのさま。
(用例)煩瑣な手続き。

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追記: 2022/08/28 22:27
〜訂正内容〜

本文を訂正しました。