おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

549_仏言葉ー081 ー 愛欲と執着2

第 5 章 やりたいことが見つからない

81.苦しみの原因を知る

前回( 548_仏言葉ー081 ー 愛欲と執着 )扱った経文の出ている箇所の全体像を以下に記します。

サンユッタ・ニカーヤ Ⅱ
第Ⅳ篇 第三章 (さらに五つの経)
(改変あり)
第一節 多数の人々

一 私はこのように聞いた。
ある時尊師は、
シャカ族の間で、
シラーヴァティー
とどまっておられた。

二 その時多数の修行者達が、
尊師の下から遠く離れないところで、
熱心に精励し、
修行に努めていた。

三 時に悪魔・悪しき者は、
バラモンの姿をあらわし、
髪を結んで大きな房をつくり、
カモシカの背皮の衣をまとい、
老いぼれて、
屋根の垂木のように背を曲げ、
息をするのにグルグルと喉を鳴らし、
ウドゥンバラ樹の杖を手に執(と)って、(*)
それらの修行僧のいるところに
おもむいた。
近づいてから、
それらの修行僧に、
次のように言った。ー
「あなた方は、
お若くて、
髪の黒い若者で、
見事な青春に富み、
人生の春なのに、
愛欲を味わうこともなしに、
出家されました。
あなた方は、
人間の愛欲を楽しみなさい。
現在経験されることを捨てて、
未来の時に得られることを
追求なさるな。」

四 修行僧達は言った、ー
バラモンよ。
われらは、
現在経験されることを捨てて、
未来の時に得られることを
追求しているのではありません。
われらは、
未来に得られることを捨てて、
現在に経験されることを追求しているのです。
愛欲は、
時間に属するものであり、
苦しみ多く、
悩み多く、
禍であり、
ここでいよいよ
烈(はげ)しくなるものだ。
と尊師はお説きになりました。
この法は、
現在経験されるものですが。
時間を超えたものであり、
来たれ、見よ、
といわれ得るものの、
導く者、
賢者がそれぞれ自ら
知るべきものであります。」
と。

五 このように言われて、
悪魔・悪しき者は頭を垂れて、
舌をまいて、
額に三筋の皺を寄せて、
杖にすがって、
立ち去った。

六 そこで、
それらの修行僧達は、
尊師の下におもむいた。
近づいてから、
尊師に挨拶をして、
傍らに坐った。
傍らに坐ってから、
修行僧達は、
尊師に次のように言った、ー

七 「尊いお方さま。
われらはここで、
尊師の下から遠く離れないところで、
熱心に精励し、
修行に努めていました。
その時、
一人のバラモンが髪を結んで大きな房をつくり、
カモシカの背皮の衣をまとい、
老いぼれて、
屋根の垂木のように背を曲げ、
息をするのにグルグルと喉を鳴らし、
ウドゥンバラ樹の杖を手に執って、
われらに近づいてきました。
近づいてから、
われらにこのように申しました、ー
「あなた方は、
お若くて、
髪の黒い若者で、
見事な青春に富み、
人生の春なのに、
愛欲を味わうこともなしに、
出家されました。
あなた方は、
人間の愛欲を楽しみなさい。
現在経験されることを捨てて、
未来の時に得られることを追求なさるな。」

八 このように言われたので、
われわれはそのバラモン
次のように申しました。ー
バラモンよ。
われらは、
現在経験されることを捨てて、
未来の時に得られることを
追求しているのではありません。
われらは、
未来に得られることを捨てて、
現在に経験されることを
追求しているのです。
その訳は、
諸々の愛欲は時間に属するものであり、
苦しみ多く、
悩み多く、
禍であり、
ここでいよいよ
烈しくなるものだ。
この法は、
現在経験されるものですが、
時間を超えたものであり、
来たれ、見よ
と言われ得るもの、
導くもの、
賢者がそれぞれ自ら知るべきものである、
と尊師が説かれたからです。」

九 このように言われて、そのバラモンは、
頭を垂れて、
舌をまいて、
額に三筋の皺を寄せて、
杖にすがって立ち去りました。」

一〇 尊師いわく、ー
「修行僧達よ。
それは、
バラモンではないのだ。
それは、
悪魔・悪しき者が、
そなたらを眩惑するために、
やってきたのだ。」

一一 そこで尊師は、
この訳を知って、
その時次の詩を唱えられた。ー
「苦しみと、
その原因とを見た人は、
どうして愛欲に傾くであろうか。
束縛は、
世の中に対する執著であると知って、
人は、
それを制し導くことを学べ。」

こうして、前回( 548_仏言葉ー081 ー 愛欲と執着 )の経文は一番終わりにやっと出てくる言葉になっているのです。

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(*)ウドゥンバラ樹の杖を手に執ってというのは、ブッダゴーサ(上座部仏教の代表的な注釈者。仏教学者。お釈迦さんのことではない)によると、「自分は欲望が少ないということを知らせるために、僅かに曲がったウドゥンバラ樹の杖を手に執って」という意味。

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①追記: 2021/09/24 01:13
②追記: 2021/09/24 01:17
③追記: 2021/09/24 01:41
④追記: 2021/09/24 01:46
〜訂正内容〜
申し訳ございません。私の操作ミスで、表題も変えて、文章を全面的に入れ替えました。失礼致しました。
再々々度本文を訂正しました。