おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

630_ひしみー052

06 「出世間(しゅっせけん)」をした沙門(しゃもん)ガウタマ

・恐妻家シッダールタ太子の蒸発

ひろさんは、シッダールタ太子(お釈迦さんのこと)が、何ら理由を周囲の者(父の浄飯王や妻のヤショーダラーなど)に明かさないまま、宮殿を出て音信不通となり、沙門となったこと、つまり、蒸発であったならば、妻のヤショーダラーの嘆きもよくわかるとして、いくつかの伝記を紹介している。

その中には、お釈迦さんが恐妻家の可能性と考えられなくもないものまで紹介している。

それで、この節の表題が「・恐妻家シッダールタ太子の蒸発」としてあるのだろう。

そこで、紹介されている伝説を書くと大体以外の通り(改変・省略あり)。

なお、息子ラーフラが生まれたのは、お釈迦さんの出家直前とする伝説が大半だが、出家後に生まれたとするものまであるらしい。

ブッダチャリタ(仏所行讃)が伝える妻のヤショーダラーの嘆きと恨みは以外の通り( 1、2 世紀頃のアシヴァゴーシャ(馬鳴(めみょう)という仏教詩人の作)。

ひろさんは、生活苦や借金苦からではない、理由がわからない夫の蒸発に対する妻の心理をよく描いているという。

善業・功徳(双方合わせてダルマ)をともに積む伴侶であった私を捨て、身寄りなき女にしておいて、功徳(ダルマ)を積もうと望んでも、この伴侶なしに苦行(の功徳)を享受しようなどと望むような人には、どうして功徳(ダルマ)なんかあるものか。

そして、お釈迦さんには、異母弟のナンダがいたため、太子の地位をナンダに譲るための蒸発、すなわち、隠遁だろうと推測したとしている。

しかし、古代インドの隠遁は、夫婦は一緒にするものだったために、ヤショーダラーは「なぜ私を誘わないのか?」とお釈迦さんを恨んでいる、先ほどの伝説は、当時の慣習を下敷きにしたものだとしている。

また、彼女の負けん気の強さをあらわすものとして、以下の伝説の続きを引用している。

きっと彼は、善業・功徳(双方合わせてダルマ)の寵児(ちょうじ)であったから、私の心がしばしば人知れず親しさのあまり嫉妬がちになり、また口論しそうになるのを知って、怒りっぽい私を捨てて、ゆっくり、おそれもなく、帝釈天の世界で天女たちをだいてやろうと望んだのだろう。

ということで、ひろさんはお釈迦さんが恐妻家のゆえに蒸発したと考えることもできそうだ(とここでは結論づけている)。

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・隠遁~いんとん~俗世間を逃れてひっそりと隠れ暮らすこと。
(用例)隠遁者。隠遁生活。草庵を結び隠遁する。

・草庵~くさぶきの小さな家。わらぶき・かやぶきの粗末な家。くさのいおり。
(用例)草庵を結ぶ。

・寵児~ちょうじ~①特別にかわいがられる子供。
②世間でもてはやされている人。花形。人気者。
(用例)時代の寵児
ここでは、②の意。

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追記: 2021/12/25 09:30
〜訂正内容〜

本文を訂正しました。