おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

633_ひしみー055

06 「出世間(しゅっせけん)」をした沙門(しゃもん)ガウタマ

次に進むに当たり、とりあえず、直近の 3 つの回をまとめたい。

630_ひしみー052
・恐妻家シッダールタ太子の蒸発

→結局、恐妻家はお釈迦さんの出家の決定的な理由とはされていませんね。
後付けの奥さん(ヤショーダラー)の気持ちを推し量った(おしはかった)伝説をいくつか取り上げているだけ。

そんな感じがします。

ただ、奥さんとしては、小規模ながらも(?)王家としての生活の安定があるとはいえ、子供が生まれてほどなく(あるいは妊娠中に)勝手に家出されたらたまったものではなかったでしょう。

そうした奥さんの視点からすると、お釈迦さんの家出という行為に対する、身勝手で無責任な謗(そし)りは免れないと言えるでしょうね。

631_ひしみー053
632_ひしみー054
・沙門ガウタマは「出世間」をした

→ひろさんは、お釈迦さんの出家が、昔の日本の律令制の国家公務員を目指しての出家とは異なるのだから、単なる浮浪者、ホームレスとしての出家だ、としている割には、それなりの理由があるだろう、と自家撞着のことをお書きになっている。

この前の回( 630_ひしみー052 )の内容を踏まえれば、これは男のきわめて身勝手な理屈だと言えますね。

お釈迦さんご自身の立場だけから物を見れば、小規模な(?)王家の地位や生活の安定を、放り出した=もったいない、となるかもしれない。

しかし、これはあくまでも男の側から見た、身勝手な視点と言われても仕方がないよね。

奥さん(ヤショーダラー)側はたまらないんじゃないの?

だから、この家出には、奥さん(と両親をはじめとした周囲の者)を、悲しませても、怒らせても、果ては幼子(またはこれから生まれてくる子)に恨まれても、かまわない、というお釈迦さんの覚悟と価値判断があった、と読み取らざるを得ませんね。

つまり、周囲の者を悲しませても、怒らせても、恨まれても、それらを踏み潰しても、踏みにじってもかまわない(ちょっと言い過ぎかな?)とされる家出としての価値が、お釈迦さんの頭の中にはあった、ということになる。

これは、王家といえども、周囲を含めた個人的な幸せは問題にならない、というある意味非常に傲慢な姿勢があると言われざるを得ませんね。

男の人は、哲学や宗教、こうしたものを通した議論に花を咲かせるのが大好きだよね。

より良き社会のあり方やそれの元になる思想の論議が好きなんですね。

これはなぜか?

「世界を自分」とする独特の世界観(これに対して自分は美しいという業想念レベルの強固な自己肯定感を持つ女性の世界観は「自分が世界」という世界観)に陶酔しやすいからですね、多分。

でもね、これはやはり、ささやかな幸せを是とする立場からすると、大き過ぎる高邁な発想と言われても仕方ないよ。

だから、お釈迦さんには、たくさんの人から感謝される、それこそ、人類史上に残る偉大な業績を上げてもらわないと、奥さんや周囲の者を納得させるのは難しかったでしょうね。

逆を考えればわかるでしょ?

もしも、お釈迦さんが唐突な家出をして、世のため人のために、一切役に立たず、何一つ尽くさず、身勝手にテレンコ、テレンコしていたとしたら、どうなりますか?

これだったら、ただのふざけた超愚か者、大馬鹿野郎にされて終わりですよ、多分。

まあ、そこ(=高邁な理想を実現するための出家)にお釈迦さんの偉大な哲学というか、教えの生じる真髄がある、とひろさんをはじめとするお釈迦さんの信奉者の人達の思い入れがある。

私にはそんな風に読めましたね。

ひろさんの取りあげたお釈迦さんの出家の動機、すなわち、
蒸発は人間としての諸々の欲望をかなえるためではないこと、
と、
出離は安穏だということ、
という意味が、
やがて、いずれは、お釈迦さんが説くことになる、この高邁な哲学や教えの中に含まれている、と読むことができます。

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・謗る・譏る・誹る~そしる~他人を悪く言っておとしめる。非難する。誹謗(ひぼう)する。
(用例)自らを省みず人を謗る。
(参考)謗は口先鋭く攻撃する意。
譏は人の落ち度を見つけて悪く言う意。
誹は人の非を指摘して非難する意。

・誹謗~ひぼう~そしりののしること。事実無根の悪口を言うこと。
(用例)誹謗中傷。仲間を誹謗する。

・浮浪~ふろう~①あちこちとさすらうこと。流浪。
(用例)浮浪の旅。
②一定の住居・職業をもたず、諸方をさまよってその日その日を暮らすこと。
(用例)浮浪者。
ここでは、②の意。

・自家撞着~じかどうちゃく~同じ人の言動が前と後とで矛盾すること。
(用例)自家撞着におちいる。

・傲慢~ごうまん~おごりたかぶって礼儀に欠けること。また、そのさま。尊大。
(用例)傲慢な態度。
傲慢←→謙虚。

・陶酔~とうすい~①気持ちよく酒に酔うこと。
②ある物事に心を奪われて、うっとりした気分に浸ること。
(用例)陶酔境。名曲に陶酔する。
ここでは②の意。

・高邁~こうまい~心がすぐれて気高いこと。また、そのさま。
(用例)高邁な精神。

・真髄・神髄~しんずい~(精神と骨髄の意から)物事の本質。根本。その道の奥義(おうぎ)。
(用例)芸の真髄をきわめる。

・奥義~おうぎ~学術・芸能・武術などの最も大事な事柄。その道の真髄。極意。奥義(おくぎ)。
(用例)仏法の奥義。奥義をきわめる。

・仏法~ぶっぽう~仏教語~仏(=お釈迦さんのこと)の教え。
仏法←→王法

王法~おうほう~①王の守るべき道。
②国王が国を治めるために出す法令。

王法~おうぼう~仏教語~(仏教の立場から)国王の施す国家統治の法令・政治をいう語。
王法←→仏法。

・安穏~あんのん~変わったこともなく穏やかなこと。平穏。
(用例)安穏に暮らす。

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①追記: 2021/12/29 04:36
②追記: 2021/12/29 04:40
③追記: 2021/12/29 07:07
〜訂正内容〜

上記複数回にわたり、本文と注釈を加筆・訂正しました。
注意はしているんですが、どうもミスが多くて。
申し訳ございません。