おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

646_ひしみー067

07 禅定と苦行、そして中道

・アーラーダ仙から禅定を学ぶ

今回から、第 7 章( 07 禅定と苦行、そして中道 )に入ります。

適当にいきます(改変などあり。以下のすべての文章に同じ)。

前章で、阿闍世(あじゃせ。ビンビサーラ王の息子)の話まで出たのに、また、父親のビンビサーラ王の話からに時間が戻った話になっている。

マガダ国のビンビサーラ王との会見後に、お釈迦さんは、禅定家 2 人に順次師事することになる。

はじめに師事したのは、アーラーダ・カーラーマ仙である。

禅定は、心静かに瞑想し、真理を観察すること、あるいは、瞑想によって到達した境地を楽しむことで、今でいうメディテーションと思えばよいそうだ。

アーラーダ仙は、どこに居を構えていたのかは不明だが、ビンビサーラ王との会見直後なので、王舎城の近くで、300 人のお弟子さんを擁する、いわば教団の主宰者であった。

伝説によると、アーラーダ仙は、当時 120 才であり、「無所有処定(むしょうしょじょう)」という、無念無想の境地に到達できる禅定を教えていた。

ひろさんは、このアーラーダ仙は、100 年ほどの歳月をかけて、この無所有処に到達できる高度な技術(テクニック)を開発したと推定している。

さらに、ひろさんによると、仏教は、戒学・定学・慧学の 3 つが重要で、これらが揃わないと、仏教にはならないそうだ。

戒学は、戒律を守ること。
定学は、禅定を修めること。
慧学は、悟りの智慧を得ること。

私達は、戒律を守って悪をやめ、善をなし、座禅をして心の安静を得る。そうすることで悟りの智慧もえられる。同時にこの智慧で、戒律を守り、心の安静を得る禅定を修めることができる、とされているので、この三学は、不即不離とされている。

ただ、インドの三学の中の禅定と、中国の禅宗における禅定・座禅とはまったく違う。

つまり、以下のようなことらしい。

インド
戒学・定学・慧学 をまとめて三学となる。禅定は、三学の中の 1 つ定学になる。
いわば、3 分の 1 の禅定。

中国(日本も)
戒学・慧学は、定学に含まれる。
禅定と智慧が一体。
禅定と戒律も一体。
いわば、1 分の 1 の禅定。

なので、アーラーダ仙の禅定は、いくら高度であっても、テクニックに過ぎない、ということらしい(ただし、決して禅宗の座禅をけなしている訳ではないので、誤解なきようにとのこと)。

ともあれ、お釈迦さんは(この段階では沙門ガウタマなのだが、以前述べたように書き分けがきわめて煩わしいのでお釈迦さんに統一している)、アーラーダ仙に師事して、瞬(またた)く間に無所有処定のテクニックをマスターしてしまったらしい。

ひろさんによると、120 才にもなる人間が生涯をかけて修得したテクニックを、新参弟子が瞬く間にマスターしたのだから、驚き舌を巻くのも無理はない、となっている。

そこで、アーラーダ仙は、自らの教団をお釈迦さんに任せようと思ったようだ。

「自分は引退し、教団はお前に任せる」と言ったらしい。

しかし、お釈迦さんはそれを謝絶した。

要は、アーラーダ仙のテクニックとその境地だけでは、飽きたらなかったらしい。

マッジマ・ニカーヤにあるお釈迦さんの言葉は、以下の通り(改変あり)。

この教えは厭離(おんり)に導かず、
離欲に導かず、
(煩悩の)止滅に導かず、
寂静に導かず、
智慧に導かず、
正覚に導かず、
涅槃に導かない。
ただ無所有所処に達するのみである。

ひろさんは、次のように言う(改変あり)。

アーラーダ仙が教えるのは無所有処に達するテクニックだけではないか?!
沙門ガウタマ(お釈迦さん)はそう言っている。
彼は自分が何を求めているかを正確にはわからなかっただろうが(わかっていれば、後に、後に苦行をしなかったはずだ)、しかし、求めているものはテクニックではないことは知っていた。
だから、彼はアーラーダ仙の下を去って行った。

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・仙~せん~①不老不死の術を修めた人。
(用例)神仙。仙女(せんじょ)。仙人。
②凡俗を超越した人。また、歌や詩の天才。
(用例)歌仙。詩仙。
ここでは、①の意。

・禅定~ぜんじょう~①心の働きを静めて精神を集中すること。また、その心の状態。瞑想。
(用例)禅定に入る。
②霊山に登って修行すること。
ここでは、①の意。

・師事~しじ~(事は仕える意)その人を先生として教えを受けること。
(用例)書の大家に師事する。

・不即不離~ふそくふり~付きも離れもしないこと。付かず離れずの関係にあること。
(用例)不即不離の関係。

・謝絶~しゃぜつ~断ること。辞退すること。
(用例)面会謝絶。

・厭離~おんり→えんり~仏教語~けがれたこの世をいとい離れること。おんり。

・離欲~字引き載っておらず。

・煩悩~ぼんのう~仏教語~心身を悩ます一切の妄念。

・妄念~もうねん~仏教語~迷いの心。迷妄の執念。妄執。

・止滅~字引き載っておらず。

・寂静~字引き載っておらず。

智慧~ちえ~智慧常用漢字にはない漢字。知恵。物事を考え、判断し、処理する能力。知能。
(用例)知恵を絞る。入れ知恵。

・正覚~しょうがく~仏教語~完全な悟り。仏の悟り。

・涅槃~ねはん~仏教語~①すべての煩悩を滅却した悟りの境地。
②死ぬこと。特に、釈迦の死。入滅。入寂(にゅうじゃく)。
ここでは、①の意。

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①追記: 2022/01/09 06:03
②追記: 2022/01/09 06:43
③追記: 2022/01/09 18:25
④追記: 2022/01/10 01:38
〜訂正内容〜

上記複数回にわたり、本文と注釈を加筆・訂正しました。