おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

382_法悟28-8-1

第 2 週 人生苦と向き合う

1 なぜ鉄は錆(さ)びるのか

鉄から出た錆が、鉄自体を崩壊させるように、
自分の行い(業)が、
罪を犯した自分を不幸へと導く。

(二四〇) (第18章 汚れ より)

学問には復習しないことが毒である。
在家にとって無精(ぶしょう)は毒である。
美しさに怠けは毒である。
心を守る人には放逸は毒である。

(二四一) (第18章 汚れ より)

また、適当にやらせてもらいます。

鉄は硬いが、錆びるとボロボロになる。なぜそうなるかは、鉄のせいだろう(?)。錆は鉄の中から生まれるのだ。これを人生になぞらえて考えてみよう。

人間も鉄のように、自らの心から出てくる錆によって崩れていくのだ。社会のせい、親のせい、家族のせい・・・すべてを他に転嫁して、自らの人生をダメにしたような人は、まさに錆びる鉄と同じだ。自らの中にこそ錆びる原因があって周囲の影響を受けたのだ。これが嫌なら、自分が錆びないステンレスに変わるしかない。

あまり気をつけない人や、いい加減な人は、自らの過ちについて、「それぐらいは構わないだろう」と思いがちだ。

「これぐらいのウソならいいさ」「こんな罪は大したことはない」と、自らの行為を軽くみるのだ。これが危険な落とし穴なのである。

ブッダ(お釈迦さんのこと)は、このダンマパダ(法句経)の中で、

他人の過ちなら、もみ殻のように、
空気に流して、あちこちにばらまく。
自分の過ちなら隠す。
詐欺師が負けたサイコロの目を隠すように。

(二五二) (第18章 汚れ より)

としている。これが普通の人間のやり方なのだ。自分がやっている悪いことは、大したことはないと甘く見ているのである。そうすることで、自分自身が錆びて崩れることになるのだ。だから、小さな罪でも危険視した方がいい。

例えば、ある会社員が一万円を横領したとする。もちろん、罪悪感なしでだ。なぜか。彼はいつも心でこう思っていたからだ。「世の中には、銀行強盗がいるじゃないか。政治家も不正をして大金をせしめ、一流企業だって結託して談合をしてるじゃないか。それを考えたらこの一万円はたかがしれている」と。

これはとても危険な考え方だ。仏教では、「糸一本でも与えられていないものはとるな。ただの糸ではないかという軽はずみな考えで自分の心に錆が浮く」と戒めている。自ら生んだ錆は、自らを壊すのだ。心から生まれた過ちは、心を破壊するのである。

次に、この後半の経文(二四一)で言う学問は、マントラヴェーダ聖典、当時のバラモン階級の学問を指す。学校で習う内容を覚えるには復習が不可欠だ。学問をして、勉強をして、知識を得る。いずれも記憶をつかさどる脳のある部分を働かせる。学習能力には個人差があるが、きちんと復習をしておけば、学んだことはいつでも思い出せる。理解力にも助けにもなる。復習は学問の魂なのだ。

在家にとって・・・は、在家の人間は自発的にやるべき仕事をこなさなければ大変なことになるという意味だ。怠けていると、在家の人は潰れますよ、雨が降る前には田を耕しておきなさい、雨が降ったらすぐに種をまきなさい、そうしないと、在家の生活は成り立たないよ、とテキパキと仕事をする大切さを教えているのである。

美しさに・・・は、現代的な話だろう。美しくあるためには、きちんと運動して、プロポーションを保つ必要がある。ブッダの言うことは医学的にも正しい。食事をしてゴロゴロとばかりしていると、体は醜く崩れてしまう。だから、きちんと怠けずに体を動かしていれば、私達は美しく健康でいることができるのだ。

心を・・・は、この経文の当時、復習しないことが毒とされていた。在家では自発的に必要な仕事をしないことが毒とされ、健康で美しい体を維持するのを怠けるのが毒とされたことにつながっている。

つまり、心についての毒とは何か。ブッダはこれを放逸だと説く。そうならないのが不放逸だが、これは、自分の心に煩悩が入らないように、一瞬一瞬の自分を観察することを言う。心は、物事を見聞きしたり、話したりすることで、絶えず汚れるから、このような不放逸と呼ばれる、気づき(サティ)を絶やさないことが大切だということを忘れないで下さい。

とのこと。

次回、また、感想を書きます。

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・無精・不精~ぶしょう~面倒くさがること。また、そのさま。ものぐさ。
(用例)出無精。筆無精。無精者。

・無精髭~ぶしょうひげ~伸びても面倒がって剃(そ)らないひげ。

・プロポーション~①割合比率。
②人、特に女性の体の各部の釣り合い。均整。
(用例)美しいプロポーション
ここでは、②の意。

この経文のこの箇所が、女性に向けてのものかどうかはわからないが、多分、男女含めて人間一般ということだろう。

太りすぎや痩せすぎは、健康にあまりいい影響を及ぼさないことがほとんどだから。

・放逸・放佚~ほういつ~勝手気ままでだらしないこと。また、そのさま。
(用例)生活が放逸に流れる。

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追記: 2021/05/23 12:02 〜訂正内容〜

本文を訂正しました。