おぶなより

世界平和の祈りに寄せて

2020-01-01から1年間の記事一覧

174_原仏10ー5

前回 ( 173_原仏10ー4 - おぶなより ) の続きです。お釈迦さんは、ヴェーサーリーにしばらくとどまり、雨期に入ります。そこで、彼は病気にかかります。回復はしましたが、年齢は 80 才です。彼は、寿命のことを意識したのでしょう。ところで。当時の平均寿命…

173_原仏10ー4

前回 ( 172_原仏10ー3 - おぶなより ) の続きです。パータリプトラですが、中村さんの推定によると、以下のようになっています。マガダ王朝が、いまだインド全体を支配しないうちは、山脈に囲まれた火山跡のような難攻不落な城塞であった王舎城のような場所は…

172_原仏10ー3

前々回 ( 170_原仏10ー2 - おぶなより ) からの続きです。王舎城を出発した釈迦は、最初にナーランダーに立ち寄りました。そこでは、マンゴーの林の中で過ごし、修行者に法話をしました。ナーランダーには、仏教寺院が 5 世紀頃からと非常に早くつくられ、や…

171_お断り3

ブログの内容の両建てにする書き方についてです。一つは、宗教色、善意(悪く言うと建前)一辺倒押しの、綺麗事のものの見方。今一つは、韓非(かんぴ)色、悪意一辺倒押しというか、肉体人間としての自己を中心とした、冷酷なまでの利害得失計算を徹底させるも…

170_原仏10ー2

前回 ( 169_原仏10ー1 - おぶなより ) で、この経典は、お釈迦さんの死に直面した場面やその直近の経緯からでなく、違う話から始まっていると書きました。実は、これは私の個人的な勝手な想像なのですが、お釈迦さんの 80 才、寿命をまっとうした年齢ですね、…

169_原仏10ー1

これまで、 Ⅰ 釈尊の生涯 を、序章 原始仏典へのいとぐち第一章 誕生と求道ー「スッタニパータ」 (1)第二章 悪魔の誘惑ー「サンユッタ・ニカーヤ」 (1)と、見てきました。 これからは、第三章 最後の旅ー 「大パリニッバーナ経」に入ります。一 旅立ちまでまず…

168_原仏9ー8

神々の存在の位置付け以外に、一つ引っかかているものがあるので、これについて触れます。それから、次に進みます。お釈迦さんが、梵天の頼みを受けて、悟りを得た修行者、まあ、ブッダ(仏陀)の目で世の中を、特に、世の人々を見渡して、教化を決意し?(哀れ…

167_諦観2

この頃は、いつも、仏教のお堅い話ばかりになっているので、たまには違うことを書かせて頂きます。・諦観~ていかん~①はっきりと本質を見極めること。 ②俗世の欲望をあきらめて、超然とした態度でいること。 (用例)人生を諦観する。・超然~ちょうぜん~物…

166_原仏9ー7

Ⅰ 釈尊の生涯 を、 序章 原始仏典へのいとぐち 第一章 誕生と求道 ー「スッタニパータ」 (1) 第二章 悪魔の誘惑 ー「サンユッタ・ニカーヤ」 (1)今まで見てきた、上記の中で、神様や悪魔など、特に神様がどのような位置付けであるかを、一応、振り返っておこう…

165_原仏9ー6

前回 ( 164_原仏9ー5 - おぶなより ) のサンユッタ・ニカーヤにある 第七篇 第二章・第四節の、子のかたちをした悪鬼、の話について雑記します。あそこに出てくる老いたバラモンの男性を、「老いた父親」とします。あの話での、お釈迦さんのやり方についてで…

164_原仏9ー5

これまで、Ⅰ 釈尊の生涯 を、 序章 原始仏典へのいとぐち 第一章 誕生と求道ー「スッタニパータ」 (1) 第二章 悪魔の誘惑ー「サンユッタ・ニカーヤ」 (1) と見てきました。中村さんの本では、この締めくくりに、サンユッタ・ニカーヤにある、様々な教えの中の…

163_原仏9ー4

三 梵天の懇請 その2 です。前回 ( 162_原仏9ー3 - おぶなより ) に関しての雑感みたいな内容です。仏教が大好きで、すごく素直で生真面目な人は、お読みになった場合に、ん?と引っ掛かるところがあったかもしれません。不愉快まではいかなくとも、何を言っ…

162_原仏9ー3

三 梵天の懇請(*1)ここでは、ちょっと、本の内容の運びがわかりにくいので、勝手に書き換えさせてもらいます。かなり、乱暴で、大雑把な書き方になりますが、ご容赦下さい。釈迦も、尊師とか、世尊とか表記されますが、面倒なので、以下、引用以外は、すべ…

161_お断り2

ちょっとまた、お断りしておきたいことがあるので、以前書いたことも含めると重複する部分もありますが、ここに書かせて頂きます。内容については、あくまでも、私の個人的な独断と偏見にもとづくことは、あらかじめご了承下さい。お願い致します。1.霊的な…

160_原仏9ー2

二 娘たちの誘惑前回 ( 159_原仏9ー1 - おぶなより ) では、悪魔が大きな蛇の王様の形をとって、お釈迦さんを恐怖で屈服させようとしたことを取り上げました。いわば、脅しとすかしのうちの脅しですね。次は、すかすというか、欲につけこむ形での誘惑で、お釈…

159_原仏9ー1

Ⅰ 釈尊の生涯 第二章 悪魔の誘惑 ー 『サンユッタ・ニカーヤ』 (1) からです。一 蛇の誘惑前に ( 152_原仏8ー2 - おぶなより ) で、神々や悪魔などを、その存在を否定してしまう、あるいは架空な想像上の産物としての存在とする、もしくは単なるたとえ話での…

158_原仏8ー8

前回 ( 157_原仏8ー7 - おぶなより ) の補足です。前回までで、一応、第一章 誕生と求道 ー 『スッタニパータ』(1) を終わりにはしました。が、そこで書いた、輪廻転生などについて、ちょっと書き足した方がいいかな、と思うことが出てきたので。私達肉体人間…

157_原仏8ー7

ちょっと、読書感想文を書きます。前回の ( 156_原仏8ー6 - おぶなより ) で、お釈迦さんは、神々も世間の人々も悪魔の軍勢を破り得ないが、わたくしは智慧の力で悪魔の軍勢を打ち破る、としていました。世間の人々なら悟りに遠いのはまだわかりますが、神様…

156_原仏8ー6

前回 ( 155_原仏8ー5 - おぶなより ) の続きです。それでも悪魔は、以下のようないくつかの軍隊と呼ぶ手下をよこして、お釈迦さんを揺さぶろうとします。第一は、欲望、 第二は、嫌悪、 第三は、飢渇、 第四は、妄執、 第五は、ものうさ、睡眠、 第六は、恐怖…

155_原仏8ー5

四 降魔降魔。ごうま。悪魔を降(くだ)す。とうとう出ました。悪魔の話です。国語辞典では、降魔は、悪魔を降伏させること、と出ています。神々のところでも感じましたが、これらは固有の意思と人格を持ち、あたかも人間のような形で、お釈迦さんに対比、ある…

154_原仏8ー4

三 出家この部分は、書かれている分量が少ないせいもあるのかもしれませんが、私見ながら言わせてもらえば、事実関係に齟齬(そご。意見や物事が食い違っていること)があり、ちょっとわかりにくいです。具体的には、こうです。その前に、大まかな見取り図を書…

153_原仏8ー3

前回 ( 152_原仏8ー2 - おぶなより ) の続きです。二 誕生 のアシタ仙人の話からです。アシタ仙人は、赤ん坊のお釈迦さんを抱きかかえて、今で言えば手相や人相でしょうか、その特徴から、彼がただならぬ者であり、素晴らしい悟りを得ていずれは多くの人々に…

152_原仏8ー2

**********まず、はじめにお断りをしておきます。以下、中村さんの言うところの、釈迦の生涯に関する3つのパッセージ(文章や談話の句・節)が、 二 誕生、 三 出家、 四 降魔(ごうま。悪魔を下すこと)、 の3つにわけて、簡潔に述べられています。…

151_原仏8ー1

第一章 誕生と求道 ー「スッタニパータ」(1)一 「スッタニパータ」についてこれは、仏典の中でも最も古く、お釈迦さんの思想や当時の人々の生活を伝えているものです。スッタニパータは、元は別々の経典として五章にわかれていたものを、一つにまとめたもので…

150_原仏7ー2

前回 ( 149_原仏7ー1 - おぶなより ) の続きです。で、中村さんは、中道を尊ぶ立場として以下のものをあげている(端段落分けなどの改変あり)。(*1)カッチャーヤナよ。 この世間の人々の多くは、二つの立場に依拠している。 すなわち有と無である。 もしも人…

149_原仏7ー1

六 原始仏典の歴史的意義中村さんは、仏教があらわれた意義を、因習を超えて、の一言でまとめておられます。人間のあるべき生き方や道筋は、バラモンのような祭りの形式ではない、苦行でもない、世襲といった血筋でもない、沐浴でもない、形而上学のような理…

148_原仏6

五 現代語訳の意義ここには、仏典の伝えられた言語の経緯が書かれているのですが、また、細かくごちゃごちゃとわかりにくいので、大雑把にいきます。まず、お釈迦さんはマガダ語で教えを説き、それがパーリ語に直され、さらに、サンスクリット語に書き換えら…

147_原仏5

四 仏教経典の現代性中村さんは、昨今、仏典(仏教に関する書物。仏書。経典)を見直そうとする機運が高まってきたと書かれています。今、この ( おぶなより ) で扱っている本(中村元著_原始仏典_ちくま学芸文庫)は、原始仏典 Ⅰ_ 釈尊の生涯_1987年09月30日刊 …

146_原仏4

三 原始仏教の聖典以下に見ていく原始経典は、「阿含経(あごんきょう)」と呼ばれます。いわゆる、原始仏教の聖典です。原始仏教を以降は、釈迦とその弟子達の仏教とします。(*1)原始仏教の聖典として残存するものは、パーリ語の聖典と、これに相当する阿含…

145_原仏3

二 経典のなりたち (*1)釈迦はネパールのシャカ族の中心であるカピラ城に、国王スッドーダナ王(浄飯王~じょうぼんのう)の長子(ちょうし~その夫婦の最初の子。特に、長男)として生まれました。釈迦というのは、彼の属していた種族の名で、姓をゴータマ、名…